セマダラハナバエ(№207)

 寒風の吹く畑の片隅に濃い紫の菊の花が咲いていました。この花にも数種類の昆虫がやってきて、盛んに蜜を吸っています。
 写真のハエもその中の1種で、セマダラハナバエと呼ばれます。ハエやアブの仲間は、メスでは左右の複眼の間が広いのですが、オスでは両複眼が接するぐらいに狭くなっています。写真はオスです。このハナバエはメス、オスで胸部背面の模様も異なります。メスでは胸部背面に5本の黒色縦条が見られますが、オスでは中央の2本が合着し3本の黒条に見えます。
 ハエは通常、成虫の寿命が3週間程度ですのでこのハエは冬季も休眠せず、暖かい日には活動しているのですね。
 セマダラハナバエはハナバエと言っていますがイエバエの仲間で、花を訪問する時は花粉媒介昆虫ですが動物の糞や死体にも集まりセマダライエバエとも言われます。
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▲セマダラハナバエ
▲セマダラハナバエ

ツリフネソウ(№206)

 晩秋の谷筋を歩くとツリフネソウに出会います。赤紫で、帆掛け舟を吊り下げたような変わった形の綺麗な花です。これはアフリカホウセンカ(インパチェンス)の仲間です。
 属名のimpatiensは「触らないで」という意味です。熟した果実は(写真下左)、そっとふれるだけで種子をはじき飛ばすことから付けられたものです。写真下右は種子を飛ばしたあとの果実です。
 ツリフネ草の花弁は5枚ですが、左右の花弁(側花弁)はそれぞれ2枚が合着しているため、上の花弁と合わせて3枚のように見えます。船のような形は、萼片(下萼片)が変化したもので、先端(距)は細くなり曲がっています。ここに蜜を蓄えているため頭をつっこみ、長い口を持った昆虫(アブやハナバチ類)しか蜜を吸えません。このように、吸蜜に来る昆虫の種類を限定しているのは受粉効率を良くするための手段です。
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▲ツリフネソウの花弁
▲ツリフネソウの果実
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▲ツリフネソウが種子を飛ばした跡の残骸

ニホンミツバチ(№205)

 12月、冬真っ最中、この寒空に花開く植物たちがあります。ビワ、ヤツデ、アセビ、スイセンなどです。花を咲かせるのですから、花粉媒介者がいるはずです。ビワの花を見ていると、やってきました、ニホンミツバチです。
 ニホンミツバチは比較的寒さに強く、冬の最中でも気温が上がれば蜜を求めて巣から出てきます。セイヨウミツバチは寒さに弱いため冬の間は、養蜂家が蜜を与えて春まで維持させます。
 ミツバチは花の蜜と花粉を餌にします。花の蜜は胃袋に入れて巣へ持ち帰り、巣の中に貯蔵されますが、この間に蔗糖であった花の蜜はブドウ糖、果糖、アラニン、アルギニンなどを含んだ蜂蜜に変わります。
 花粉は嵩張るため彼女たちは、体中に生えた細毛に花粉をつけ、飛翔中にそれらを集め、後脚のふくらはぎ(平たく、剛毛がまばらに生えている)に当たる部分のマイバッグ(買い物かご)に花粉団子として溜め込み巣へ持ち帰ります。
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▲後脚に花粉をつけたミツバチ
▲ミツバチの買い物かご

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