ユリ(№209)

 冬になると里山の多くの樹木も落葉し、景色も褐色に変化しました。他の草が枯れた後、ところどころにユリの仲間が種子の詰まった果実を突っ立てているのが見られます(写真上左)。
 ユリの花は横向きに咲き、昆虫達を受け入れますが種子が熟し始めると果実はまっすぐ上を向くようになります。その後、果実の上端が開き鞘が3つに烈開しますが各鞘は細いネットで結ばれており、果実の上端以外に種子は鞘から出ることは出来ません。つまり、かなり強い風が鞘のネットの隙間から吹き込み種子とともに上へ吹き抜けるような状況にならないと種子が外へ飛び出すことは出来ません。ですから、正月を過ぎても直立した果実の中に多数の種子が残っているのを見ることがあります。このように、強い風のときに種子を飛ばし、出来るだけ遠くへ種子を運んでもらおうとしているのでしょう。
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▲ユリの果実
▲風で吹き上げられるユリの種子
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▲翼を持った軽いユリの種子

ウスムラサキイラガ(№208)

 まだ松の内の1月5日、硬い石楠花の蕾に小さな蛹?が付いていました。シジミチョウの蛹?かなと思いそっと取って見ましたが軟らかく、蛹ではなく幼虫の感じがしました。
 手にとってよく見ると背面が角ばっており、どうもイラガの幼虫のように見えます。持ち帰って調べてみるとウスムラサキイラガであることがわかりました。この寒い時期に何を食べているのでしょうか。どうやら越冬は前蛹のようです。前蛹は幼虫の最終段階で、蛹になる直前のもので、通常は餌もとらず、移動もしない状態を指しますがこの前蛹は若干ではありますが移動します。
 それよりも、イラガは刺毛を持っています。私が素手で採ったとき刺毛に触っているはずなのにまったく痛みを感じなかったのはなぜでしょうか。
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◀ウスムラサキイラガ幼虫

アシダカグモ(№210)

 暖房の効いた部屋、冬眠中のムシたちもノコノコ出歩くことがあります。部屋の壁に体長3cm、脚を広げると10cmもあるアシダカグモが静かに止まっていました。
 アシダカグモは元々熱帯地方のクモで、日本では関東以南の住宅地に住んでいます。このクモの主な餌はゴキブリです。暖房が効き、ゴキブリが住んでいる住宅が最適住環境なんでしょう。
 このクモは網は張りません。夜行性ですので、夜中に徘徊し、ゴキブリが居れば毒液を注入し、体を溶かして吸い込んでしまいます。人間には害を与えませんから益虫なんでしょうが、その姿、逃げ足の速さなど不快害虫視されることもあります。しかし、アシダカグモが2、3匹居れば害虫であるゴキブリは姿を消すそうですよ。
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◀アシダカグモ