アカヒラタヤスデ(№222)

 林道を歩いていると、枯死木の幹に直径10cm程度の赤い花が咲いていました。近寄ってよく見ると赤くて体長約2cm、幅約2mmのヤスデの大群でした。
 これほど多数のヤスデが辺り一帯に棲んでいることにも驚きました。よく見ると、サルノコシカケの仲間に集まり、これを食べているようです。
 このヤスデ、アカヒラタヤスデと思われます。よく似た仲間にヤマシナヒラタヤスデというのがいるようですがこちらは背中に8~10個程度の小瘤があるとのこと。写真ではその様な小瘤は見られないためアカヒラタヤスデでしょうか。千葉県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。局所的発生のようで、どこででも見られるというようなものでもないようです。
 ヤスデは、倍脚類に分類され、1体節から2本の足を出しています。森林に生息し腐食性で、キノコ類を好む分解者の一種です。無毒ですが、あまり手のひらに載せる気にはならない不快害虫と言えるでしょう。
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 ニオイタチツボスミレ(№221)

 春早く、里山にスミレが咲き競います。ニオイタチツボスミレです。
 下の花弁(唇弁)にガイドマークが見られ、その中央に蜜のある部分に続く溝があります。この溝にハナバチなどが頭を突っ込むと、花粉がこぼれ落ちハチの頭に花粉が降り注ぐ仕掛けとなっています。早春に咲いた花は、昆虫によって受粉されるものが多いですが、その後、地際に出来る蕾は開花せず、閉鎖花として自家受粉し結実するものが多くなります。
 スミレ類の種子は、種子の胎座にエライオソームと呼ばれる脂質を貯えており、エライオソームはアリの大好物です。アリは、種子を巣に運び、エライオソームを食べた後の種子は巣の外へ放り出します。外へ出されたスミレの種子は、その場で発芽し成長します。つまり、スミレの種子はアリによって運ばれることになります。
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オカモトトゲエダシャク(№220)

 

 5月、椿の木に妙な形のイモムシがいました。体長4mm程度で黒褐色の体に白斑が目立ちます。恥ずかしがりなのか、体の前半分を腹側に丸め顔を隠しています。オカモトトゲエダシャクの幼虫です。ブナ科、ニレ科、バラ科、マメ科、ツバキ科、ツツジ科など多数の庭木につく害虫です。
 成虫は、
3~4月街灯に集まるガの中に見ることが出来ます。翅を細く折り畳み、前翅は体の左右に伸ばし、後翅は腹に沿わせて後方に伸ばします。その結果、十字型(T字型)に見えるガがそれです。5~6月に蛹化(蛹になること)し、翌春羽化(成虫になること)する、年に1化のサイクルを繰り返しています。
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