オオキンカメムシ(№240)

 クチナシの木に体長25mmぐらいの大きくて美しいカメムシがいました。
 オオキンカメムシと呼ばれる日本で最大のカメムシです。朱色の地色に黒い斑点が美しく、構造色なのでしょう、光線によってきらきら紫色に輝く非常に美しい南方系の昆虫です。アブラギリに産卵し、幼虫はアブラギリの葉の汁を吸って育ちます。ところでアブラギリは油をとるため導入した外来種です。では、アブラギリが導入される前はオオキンカメムシは何を食べていたのでしょうか。
 オオキンカメムシは常緑広葉樹林で集団越冬するといわれています。和歌山県江住、高知県室戸岬などが越冬地として知られています。なお、美しくてもカメムシです。捕まえると、あのカメムシ特有の臭い匂いを出しますのでご用心。
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◀オオキンカメムシ

ゴキヅル(№239)

 8月頃、池の水辺で咲いているつる草を見つけました。10枚の花弁が星状に広がっているように見えます(写真下右上)。この10枚のうち5枚が花弁で、他の5枚はガクだそうです。
 ウリ科のつる植物で、兵庫県や埼玉県ではレッドデーターブックに記載されている植物です。
 妙な名前が付けられていますが、果実は写真(写真下中央)のようにおわんに蓋をかぶせたような形をしており、中に2個の種子が入っています。
 ふたつきの容器を「合器(ゴキ)」というところからゴキヅルと呼ばれるようです。熟すとおわんが外れ、2個の種子が落下します(写真下円内)。種子は水に浮き、水の流れにのったり、風に吹かれて移動する「水散布」の植物です。
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ゴキヅル2
▲ゴキヅルの生育状況
▲ゴキヅルの花と果実

ヒメヨコバイsp(№238)=モモヒメヨコバイ

 平成25年の夏はことのほか暑く、また10月になっても真夏のような暑さが続きました。10月になって、あちらこちらの桃の木で、葉の色が薄くなる(黄変する)現象が見られました。これは暑さのせいでしょうか。いいえ、葉の色を薄くしている犯人は葉の裏にたくさんついている小さな昆虫(写真右上)でした。
 正確な和名は現在同定中ですが、ヒメヨコバイの仲間だと思われます。植物の葉にセミやカメムシなどと同じような硬い口(口吻)を差し込んで樹液を吸って生きています。少々の吸汁であれば問題ないのでしょうが、大量に発生した場合は今回のように葉が退色してしまいます。被害がもっと大きくなれば落葉するかもしれませんが寒さがやってきて虫は見られなくなりました。
 農薬には弱いのか、農家の桃園では見られず、庭木として植えられている桃での発生が多く見られました。また、同じバラ科のバラ、ウメでも寄生が見られました。

本害虫は、2021年に和名モモヒメヨコバイと決められました。
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ヒメヨコバイ2-2
▲モモの被害状況
▲ヒメヨコバイsp成虫
ヒメヨコバイ3-2
▲ヒメヨコバイsp脱皮殻

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