クロガネモチ(№241)

 師走から正月にかけて、あちこちの家の庭に濃い緑の葉、真っ赤な果実を鈴なりにつけた高木が目立つようになります。まばらに実をつけるソヨゴもありますが殆どはクロガネモチです。ところで、クロガネモチに非常によく似た樹木に同じモチノキ属のモチノキがあります。どちらも庭木として植栽されていますので、以下にその区別点を示しました。
葉:クロガネー5~8cm、モチー4~8cm(葉はモチが小さい)
新枝:クロガネー暗褐色、モチー暗灰色(枝はクロガネは紫がかって赤っぽい)
果実:クロガネー径5mmで多数つく、モチー径8mmでやや少ない(果実はクロガネが小さく多い)
果序(果実のつき方):
クロガネー1本の果梗が数本に分岐しそれぞれの先に1果ずつつける
モチー 1本の果梗に1果(クロガネは
分岐した果梗に1果ずつ、モチは1果梗に1果、)
果梗の出方:クロガネー葉腋以外からも出る、モチー葉腋から出る

さてあなたが見つけたのはどちらでしょうか。
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くろがねもち
モチ
▲クロガネモチ
▲モチ
クロガネとモチ
▲左:クロガネモチ、右:モチ

センダン(№243)

 晩秋、落葉樹が殆ど葉を落とした頃、直径約1cm、長さ約1.5cm程度の薄黄色の果実を鈴なりにつけた大木が目に付くようになります。これは、センダン科のセンダンの木です。
 暖地性の落葉高木で高さ15~30mぐらいになります。この果実はヒヨドリが好んで食べ、1日で食べつくされてしまうこともあります。ヒヨドリは喜んで食べますが、この果実にはサポニンが含まれ人間には有毒です。使い方によっては漢方薬の材料になるようです。
 5、6月にはうす紫色のきれいな花をたくさんつけ、芳香も放ちますが、あまりにも大木になることと昔は獄門台に使われたそうで、庭木には使われません。
 ところで、落葉期にセンダンの木の下を見るとたくさんの枝(長さ30cm程度)が落ちているのが見られます。実はこの枝のように見えるものは葉柄と中肋(葉の真ん中にある葉脈)に当たるものです。これが落ちた跡を見ると離層(落葉する際、枝から切り離すための層)が出来ており、葉腋(葉がついていた部分の枝)には来年の新芽に当たる冬芽(腋芽)ができているのがわかります。センダンの葉は、1枚が長さ50cmにもなる大きな葉で、葉身が小さな葉(小葉)に分かれた複葉です。
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センダンカジツ31
センダンの葉
センダンの離層
センダンの1枚の葉

ベニカミキリ(№242)

 芝生の植え付け用に目串(マット状の芝生を押さえるための竹串)を作りました。丸竹を割って作るのですが1本の竹を割ったところ、表皮は異常がないのですが、内層部に細かい粉末状のものが詰まった孔道が見られ白くブヨブヨした幼虫が出てきました。
 伐採したタケの内層部を食害するのは、ヒラタキクイムシ、チビタケナガシンクイムシ、タケトラカミキリムシ、ベニカミキリムシが主要な害虫です。この幼虫はタケトラカミキリムシかベニカミキリムシの幼虫と思われます。春から夏に伐採するとこれらのカミキリが伐採直後のタケに産卵し、タケの内層部を食害しながら成長し、羽化した成虫はベニカミキリでは翌々春、タケトラカミキリは翌春から夏にタケの内側から表皮に穴を開けて出てきます。この写真の幼虫からはやがてベニカミキリの成虫が出てきました。
 銘竹、竹製の家具、竹垣などに使われている竹を食害すると被害が大きいため竹の伐採時期は晩秋から冬期にする必要があります。
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benikamikiri3
竹を食害虫のベニカミキリ幼虫