セリバオウレン(№252)

 2~3月、里山の半日陰に見られる白く可憐な花があります。スプリングエフェメラル(春の妖精)の一つと考えていたのですが、葉は一年中出ておりスプリングエフェメラルとはいえないようです。
 この花はセリバオウレンといい、キンポウゲ科オウレン属の花です。写真の花は雄花で、雄しべだけをつけています。他に、両性花(雄しべと雌しべをつける)、雌花(雌しべだけをつける)があります。外側の長く白い花びらのようなものはガクで、その内側のやや短いものが花弁です。
 根茎にはベルベリンというアルカロイドを含み、健胃、整腸に有効な漢方薬として使われます。

 この仲間にはミツバオウレン、コセリバオウレン、キクバオウレンなどがあり、それぞれ複葉の出方が異なります。
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スモモキリガ(№251)

 前回に続いてヤガ科の仲間、キリガの紹介です。前回は秋に羽化し、成虫で冬を越すミツボシキリガでした。今回は、蛹で越冬し、早春に羽化するスモモキリガです。
 キリガの仲間は、いずれも2~4月の夜間に活動するため、人目に触れることが少ない仲間です。そのため稀少種扱いされるようですが、その気になれば結構見つけることが出来るようです。
 3~4月、サクラ、ウメ、スモモ、リンゴやクヌギ、コナラなどの枝に産卵された卵は、開花期に孵化し、幼
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◀スモモキリガ

ヤマボウシ(№250)

 春になり、冬眠から覚めた落葉樹の新芽も動き始めました。ヤマボウシの新芽は、花の咲き終わった9月頃には出来ていますが、最初はどれを見てもみな同じに見えます。しかし、冬季(剪定時期)になると先端部の芽は太く大きい芽が多く、これに比べ樹冠の内部の芽は細長い芽が多いことに気づきます。
 枝の先端の太く大きい芽は間もなく蕾となり、花を開く芽で花芽といいます。ほっそりしているのは葉を開く葉芽です。この花芽は花の終わった8月には分化(花芽と葉芽が決定されること)し、この分化期以降は葉芽が花芽に変わることはありません。従って、冬季剪定の際はこの花芽を残さないと次期の花は見られないことになります。
 ヤマボウシによく似た花木にハナミズキ(アメリカヤマボウシ)がありますが、こちらも花芽の分化については同様に推移します。しかし、ハナミズキの花芽は早い時期から擬宝珠(ぎぼうし)のような形をしており葉芽とは簡単に区別することが出来ます。
またヤマボウシの果実は多数の果実が集まった集合果で食用になりますが、ハナミズキは個々の果実が分離しています。
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▲ヤマボウシ(左:花芽、右:葉芽)
▲アメリカヤマボウシ(左:花芽、右:葉芽)
▲ヤマボウシ(集合果)
▲アメリカヤマボウシ