カラスノエンドウ(№258)

 カラスノエンドウはその托葉(細かく分かれた複葉の基部にある小型一対の葉)に花外密腺(花以外で蜜を分泌する腺)を持っています。この腺から蜜を分泌し、アリがその蜜を求めにやってきます。アリは蜜をもらう代わりに、カラスノエンドウの害虫を追い払うといわれています。
 ところでアリはアブラムシを守り、アブラムシから甘露を手に入れることが知られています。そのため、アブラムシはアリマキ(アリの牧場)と呼ばれるほどです。
 さて、アブラムシはカラスノエンドウにも寄生します。カラスノエンドウにアブラムシが寄生している場合は、アブラムシは明らかにカラスノエンドウの害虫です。とすると、アリはアブラムシを追い払うのでしょうか。観察している限りでは、そのようなことは見られず、アリは、カラスノエンドウの蜜も、アブラムシの甘露も享受しているように見えますが。
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▲托葉の裏の黒い部分が花外蜜腺 円内は吸蜜中のアリ
◀カラスノエンドウに寄生中のアブラムシ

マダケ(№257)

 たけのこのシーズンも終盤に入るころ、竹林が遠めにもわかるほど黄色くなっているのに気づかれましたか(写真は山頂まで繁茂した竹林)。この時期は、竹の落葉期で古い葉が黄化しているために竹林全体が黄色く見えているのです。この状態から「竹の秋」とも呼ばれます。逆に秋には竹は濃い緑となるため「竹の春」と呼ばれることもあります。
 ところで、これとは別に竹やぶによっては非常に細い葉が密生しているのを見ることがあります。これは、糸状菌(カビ)による病気でテングスビョウ(天狗巣病)と呼ばれるものです。罹病枝は節が多くなり、小葉を多数つけるため、まるでほうきのようになり、重みで垂れ下がるようになります。竹薮への薬剤散布は困難で、この病気にかかると、発病した竹を伐採、焼却するのが最も有効な防除法となります。マダケやハチクでの発生が多くモウソウチクにはあまり発生しません。
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▲マダケ天狗巣病(左:罹病株 右:健全株)
◀マダケ天狗巣病罹病枝

オオワラジカイガラムシ(№256)

 春先になるとクリ、カシ類、シイ類の樹幹の割れ目などにロウ質白粉(写真上)が見られることがあります。これはオオワラジカイガラムシの分泌物です。
 オオワラジカイガラムシも昆虫の一種でカイガラムシの仲間です。成虫の体長は12mm~15mmでカイガラムシの中でも最大級です。全体の形はエビの仲間であるワラジムシに似ています。カイガラムシのメスは植物に定着すると一生移動できないものが多いのですが、オオワラジカイガラムシのメスは生涯歩行可能です。また、他の多くのカイガラムシ同様オスには翅があり飛翔可能で、それなりの距離を移動するようです。
 5~6月に地表に産卵し、冬季に孵化し樹上へ移動します。
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▲メス成虫
◀メス成虫の上に乗ったオス成虫

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