ウンモンスズメガ(№261)

 緑色のきれいな蛾がいる、との情報で確認したところ、写真のようなきれいな蛾でした。
 この蛾はウンモンスズメガと呼ばれる蛾で、開長(翅をひろげたときの左右の先端から先端までの長さ)は約6cmの大型の蛾です。前翅は緑色で迷彩色の蛾として知られています。しかし、後翅は赤く、急に後翅を見せられるとびっくりしてしまいます。一種の警戒色なのでしょうか。非常に早く飛ぶそうです。
 幼虫はケヤキやハルニレの害虫です。時々大発生をすることもあるようですが、今までに問題になったことを聞いたことはありません。
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ウンシュウミカンの花(№260)

 5月になると、ミカン園の近くを通ると、ミカンの花の香りが漂います。ミカンの花は、香りも強く、蜜や花粉も豊富です。したがって、昆虫がたくさんやってきます。この昆虫たちはミカンの受粉に役立っているのでしょうか。
 受粉は植物が種子を作るために必要なことですが、ウンシュウミカンには種子はありません。人間が果実は熟すが種を作らない(単為結果性)ミカンを作り上げてきた結果でしょう。ウンシュウミカンは自家和合性のため自家受粉が可能ですが、雌性不稔性が強く種子は殆どできません。そのため、繁殖は接木によっています。
 ミカンの花に集まる昆虫たちは蜜や花粉のご馳走をただで頂戴することになります。ところで、強いにおいには多くの甲虫類が集まってきます。特にハナムグリの仲間が多いのですが、ハナムグリは脚に鋭いとげを持っており、花粉や蜜を食べるとき花の奥まで脚でかき回します。そのため、花の奥にある果実の外側が傷だらけになりミカンの商品価値が落ちます。農家にとっては、正にお邪魔虫というわけで、殺虫剤を散布される羽目になります。
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コガタスズメバチ(№259)

 コガタスズメバチについては、すでに本シリーズの「№70」に掲載しましたが、越冬成虫(メス)による巣が見つかりました。
 植木の中に作られた大きなトックリ型の蜂の巣です。これは日本ではコガタスズメバチの越冬成虫による巣と八重山諸島にいるツマグロスズメバチしか作らないので関西ではコガタスズメバチの越冬成虫(メス)が1匹で作った巣です。このトックリの中に、六角形のきれいな蜂の巣が10巣程度作られ、越冬成虫1匹で産卵、給餌し子育てします。蜂が作る六角形の巣は、最小限の材料(各辺の長さの合計が最小)で、最大の空間(空間に隙間がない)を保持できるもので、ハニカム構造と呼ばれ航空機、ラジエーター、その他の構造物に応用されています。
 新成虫がかえった後は、巣作りや子育ては新成虫が行い、越冬成虫は産卵に専念します。新成虫による巣作りは、最初トックリ状の長い首をかじり、それを材料にトックリの上に新しい巣を継ぎ足していきます。トックリの首が短くなると樹皮を削り唾液と混ぜて巣を作っていきますが、そのときの材料によって色が違うため、うろこ状の模様が出来上がります。
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▲越冬成虫による単独巣
▲新成虫による共同巣

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