カンナ(№86)

 眞夏のカンカン照りの中、赤、朱、黄、白色の花を次々と咲かせるのはカンナです。カンナは花の数の割りには少ししか種をつけません。では、その花を分解して見ましょう。
 写真のように、右上が3枚のガク。左上は3枚の花びら。そして、2,3段目の大きな花びらのように見えるのは花弁のような形になったおしべ5枚で、一番下はへらのような形の雌しべです。一番上の段のガクと花弁(花びら)はよく似ていて区別しにくいため、花被といい、花びらのように見える雄しべを仮雄しべと呼びます。カンナは3数性(ガクや花びらが3の倍数で構成される植物)で、雄しべも6本あるはずですが、1本は退化して5本に、しかもその内の1本だけが花粉をつける様に変化したものと考えられます。
 このようにカンナの花は、雄しべの中で花粉をつけるのは1本だけ、しかも雌しべもへら状に変化し、花の生殖機能が退化してしまっているといえます。根茎の分割で容易に増殖できるため、種子による増殖の必要性が減ったためでしょうか。では、何の目的でカンナは花を咲かせているのでしょうか。
 このような花の構造をしている植物にはショウガ目のショウガ、カンナ、バショウなどがあります。
▲カンナの花
▲カンナの花分解図
▲花粉をつけたカンナの雄しべ


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