ヤブツバキ(№68)

 ヤブツバキの花があちらこちらで咲いています。厳冬期、当然昆虫の少ない時期です。花粉の媒介は誰がするのでしょうか。ツバキの花粉は鳥が媒介します。
 鳥が花粉を運ぶ花は鳥媒花と呼ばれます。南米ではハチドリによる鳥媒花が多数ありますが、国内ではツバキ、サザンカ、アメリカディゴなどそう多くありません。鳥もメジロ、ヒヨなど一部に限られるようです。
 鳥媒花の代表ヤブツバキの花を観察しましょう。赤くて大きく、他の花が少ない時期に視力の優れた鳥にはよく目立つ色です。また、香りはありません。これは嗅覚の劣る鳥にアッピールしないからでしょう。縦半分に切ってみました。花糸(雄しべの柄状の部分)は、下部で互いにくっつき、分厚い筒状となっています。この丈夫な筒の底に多量の蜜が貯められています。体の大きな鳥を呼ぶためには大量の蜜が必要で、鳥のツメやクチバシから花を守るため全体に硬く,丈夫に出来ています。
 さて、ツバキの花は、咲き終わるとポトリと落ちます。落馬を連想させるため競走馬の名前には使われないそうです。
◀ヤブツバキの花


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