ヤエムグラ(№370)

 個々の植物は、他の植物と競争しながら太陽光線を求め上へ上へ伸びようとします。しかし、高く伸びるには樹木のようにしっかりした幹と根が必要になりますが、1年性草本のように短命な植物にはしっかりした幹は望めません。そこで知恵を絞った結果、蔓(つる)を利用したり他のものの力を借りて高く伸びようとするものが出てきました。
 秋に芽生え幼植物のまま冬を越したヤエムグラは春になると急に成長しグングン伸びますがその茎は華奢で自分で立ち上がることは出来ません。フェンスに張り付いていた30cm程度のヤエムグラをそっとはずして伸ばしてみると1m近くありました。しかし、その茎は写真のように細くまったく立ち上がることは出来ません。ヤエムグラは細い茎に下を向いた棘をたくさん生やし、葉の縁、果実にも棘をつけることで自分自身や他の植物、物に絡まって立ち上がる方法を取りました。
 華奢な植物もこのように棘を使う他、ツルになったり、巻きひげ、付着根を使ったりいろいろ工夫しながら出来るだけ上へ上へ伸びようとしているのがわかります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲フェンスに絡むヤエムグラ
▲1株のヤエムグラ
▲ヤエムグラの茎、葉、果実の棘


ページトップへ