クロスジフユエダシャク(№61)

 12月初め、落ち葉の積もる林間を歩いていると突然足下から小さな蛾が飛び出しました。
 これはクロスジフユエダシャクのオス成虫です。昆虫類は変温動物のため、外温が低くなったり、高すぎたりすると行動が不活発になるのが普通です。しかし中には、他の昆虫が動かない冬に出てきて活動する変わり者がいます。その一つがこのクロスジフユエダシャクです。しかも、飛び回っているいるのは全てオスです。メスの翅は退化し樹木の幹上を這い回るだけで、飛ぶことはできません。翅がない方が、冬期間の体温放出が少なく体温を維持しやすいのかもしれませんが、オス、メスともに翅が無いと近親交配が起こりやすくなります。そこで、オスだけは翅を持ち自由に移動できるようにして近親交配を防いでいるのでしょう。
 メスはオスを呼ぶ匂い物質であるフェロモンを出し、この匂いに寄せられたオスと交尾した後産卵します。卵はコナラ、ミズナラ、アベマキ、クヌギなどの新芽が開くと同時に孵化し、これらの葉を食べて5月頃に蛹化(蛹になること)し、冬になると成虫が出てきます。成虫は、食べ物は一切とらず、交尾と産卵だけが仕事です。
(*写真をクリックすると拡大されます)
◀クロスジフユエダシャク雄成虫


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