アオマツムシ(№57)

 11月に入り、アオマツムシの死骸があちこちに見られるようになりました。8~11月の夜、あちこちの街路樹からリリィーリィーと大声の大合唱が聞こえるようになりますが、この昆虫がその声の主です。夏の終わりには、昼はセミ、夜はアオマツムシが騒々しい音を立てることになります。コオロギやスズムシの仲間ですが、この大声は、お世辞にも風情があるとは言いがたく、むしろうるさいと表現した方がいいような声です。また、その体色もコオロギの仲間にしては珍しく緑色をしています。これは、コオロギやスズムシが地上生活をし、アオマツムシが樹上生活をするため、生活環境の色に合わせた保護色となっているのでしょう。
 アオマツムシは今から、100年ほど前の1898年に東京で発見された帰化昆虫です。中国から浸入したものと考えられています。
 樹皮に産卵するため、植木とともに移動したらしく、今では九州から関東まで、各地の団地や住宅地の街路樹で繁殖しています。不思議なことに人里離れた雑木林ではほとんど繁殖しません。
 最近、樹上生活者のアオマツムシが地上でも活動することが知られるようになりました。地上はコオロギ、スズムシの世界、樹上はアオマツムシの世界と住み分けられてきたのが、いつかこの騒々しい昆虫が夜の世界を征服することになるのでしょうか。
(*写真をクリックすると拡大されます)
▲アオマツムシ


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