コアオハナムグリ(№40)

 ミカンの花が咲き、あたり一面に強い香りを振りまいています。
 満開の温州ミカンの畑をのぞいて見ました。満開の花は、昆虫に目立つように白色で、強い香りを放ち多量の蜜を出しています。ミカンは、このように花粉媒介昆虫を誘引するために多くのエネルギーを費やしています。この努力に答えるべく、コアオハナムグリ、ヒメヒラタケシキスイ、シロテンハナムグリなどの甲虫類が吸蜜に集まります。当然、花粉の媒介もしています。しかし、温州ミカンは種子ができない雌性不稔性(受粉しても胚珠の発育が停止、退化し種子ができない)と、単為結果性(受粉しなくても肥大する)を併せ持ち、種無しミカンとして育種された品種です。一方、花に来る甲虫は脚のトゲで吸蜜中に子房の表面に傷をつけます。この傷はミカン果実の表面に残り品質低下の原因となり、農家に嫌われます。そのため、これらの昆虫は、害虫として農薬散布の対象になり防除されます。
 つまり、温州ミカンが多大のエネルギーを使って昆虫を集めようとした努力が報われることは無いのです。
(*写真をクリックすると拡大されます)
◀ミカンの花にやってきたコアオハナムグリ


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