カマドウマ(№416)

 山城跡を訪ねた際、古井戸の覆いを開けてみると、井戸の内壁に大型のコオロギのような虫が多数くっついているのが見られました。
 これはバッタ目カマドウマ科の昆虫でカマドウマの仲間です。翅は無く、後脚が特別に発達しています。体は背中がアーチ型に盛り上がり、体長の3倍程度もある長い触角を持っています。狭く暗い場所を好むためその長い触角を使って、自分の体の周囲全体を探るのでしょう。通常、屋外で枯木の洞や岩の隙間などで生活していますが、家の中へ入ることもあり、かつてはカマドに潜むことが多かったようです。その体型と並外れた跳躍力、カマドに潜むことが多かったことからカマド馬(カマドウマ)と呼ばれたようです。
 夜行性で、夜には森の中を歩き回り植物質や動物質の餌をとります。幼虫も成虫と同じ体型、色彩で同じところに生息しています。別名「便所コオロギ」、「御釜コオロギ」とも呼ばれます。
 日本では、カマドウマ科に数十種類が知られていますが、よく見られるのはマダラカマドウマ、カマドウマ、クラズミウマなどですが、翅がないため広範囲に移動することは少なく、各地域ごとに多くの亜種が存在し、同定も専門家でないと難しいようです。
 秋になると川に飛び込むカマドウマが多く見られ、これらはマスなどの川魚の格好の餌になるようです。カマドウマが川に飛び込むのは、寄生しているハリガネムシがカマドウマの行動を左右し、カマドウマを入水させ、水中でハリガネムシがカマドウマの体内から脱出するためです。ハリガネムシに寄生されたカマドウマはハリガネムシにその心まで左右されてしまうわけです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲カマドウマの仲間
▲カマドウマの仲間

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