ルビーロウカイガラムシ(№418)

 ツバキ、ゲッケイジュ、モチノキ、ソヨゴなどの庭木やミカン、カキ、チャ等の果樹一般に広く寄生する害虫にルビーロウカイガラムシ(別名ルビーロウムシ)があります。雌成虫の体長は4~5mmで、ルビー色の丸い塊状で枝にびっしり付いているのがこの害虫です。
 カメムシ目カタカイガラムシ科のカイガラムシで、背面を覆っているルビー色のロウ物質の下に雌成虫がいます。枝の篩管に口針を差込みその位置に定着しています。樹液を吸汁し、植物の生育を阻害するだけではなく、篩管からの吸汁で、糖質の多い排泄物を出すことで植物の葉にスス病を発生させるなどの被害が生じ重要な害虫に入れられます。
 秋に成虫になりますが、雄(一対の翅を持つ)は殆ど現れず雌だけの単為生殖で増殖します。春にロウ物質の中で産卵し産卵後雌も死亡します。5月下旬~7月上旬に幼虫が孵化し、しばらく歩行しながら定着場所を探し、一旦定着するとその後移動することはありません。ロウ物質の帽子のツバのような部分に所々白い部分が見られますが、この奥に気門が開いていて呼吸しています。
 重要な害虫ですが、体がロウ物質で覆われているため薬剤による防除は困難です。薬剤による防除が有効なのは、幼虫孵化期の殺虫剤散布か冬季のオイル系薬剤散布で窒息死させる方法のみです。他には発生を認めたらブラシで擦り取る方法も有効です。なお、日本では有効な天敵のルビーアカヤドリコバチが活動しており大発生してもいつの間にかいなくなることもあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ルビーロウカイガラムシ雌成虫
▲枝に大量に寄生し、葉にはスス病が発生

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