クリスマスローズ(№434)

 クリスマスローズは花の少ない厳寒期の花として人気があります。キンポウゲ科クリスマスローズ属の植物ですが、日本でクリスマスローズと呼ぶこの仲間は欧米ではクリスマスローズとレンテンローズにはっきりと区別されています。前者は12月のクリスマス頃に開花し、春先2~4月に咲くのがレンテンローズです。日本ではどちらも区別せずにクリスマスローズと呼ばれています。
 この花は、開花期間が長いことでも喜ばれますが、科学的に見るとそうでもありません。クリスマスローズの花びらに見えるのはガク片で、開花と同時に開きます。花弁に当たるものは蜜弁(蜜腺)としてガク片と雄しべの間に筒のような形で存在します。しかし開花後、蜜弁(花弁の変化したもの)、雄しべはやがて落下してしまいます。通常の花では落花となり、花は終わったことになりますがクリスマスローズではガク片はそのまま残り、一見開花中のように見えます。クリスマスローズの花は下向きに開き、内部の様子は上からでは見えにくく、果実が肥大しても外見は変わらないため、非常に長期間、多数の花が咲いているように見えます。
 ところでキンポウゲ科の植物には有毒なものが多いことはよく知られています。クリスマスローズの学名Helleborus(属)の意味はギリシャ語のhelein=殺す、bore=食物から来ているといわれるようにカブレ、吐き気、腹痛、下痢などの症状を引き起こします。特に根茎は危険といわれています。文献上も川に流して化学兵器として使われた記録もあるそうです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲クリスマスローズの花
▲左:開花中(蜜弁が見える)、中央:落花後、右:種子肥大期
▲同じ花を裏から見たもの(落花後も開花中と同様に見える)

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