ヨウシュヤマゴボウ(№449)

 ヨウシュヤマゴボウという名前を聞いたことがある方が多いと思いますが、写真を見ればよく見る草とわかるほど街中のどこにでもある草です。しかしヨウシュヤマゴボウは有毒植物で、紛らわしい名前の食用植物がほかにもあり、時々間違って中毒事故を起こしていますので注意が必要な植物です。
 ヨウシュヤマゴボウはヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の植物で、草丈2m程度になります。6~9月頃花穂に白色の花をつけ、やがて下垂し、果実は黒く熟します。鳥はこの果実を食べ、糞とともに種子をばらまくため都会でもあちらこちらで目にすることができます。茎は紅紫色で、秋には葉が葉脈部を残して紅葉しよく目立ちます。果実はつぶすと、紅紫色のきれいな汁液を出し、衣服や手に付くとなかなか取れませんが、この色水を使って子どもが遊ぶこともあります。しかし、この植物は全草有毒で口にすると腹痛、嘔吐、下痢に続いて延髄に作用し痙攣を起こして死に至るもので非常に危険です。子供には触らせないようにするべきでしょう。
 同属在来種でヤマゴボウ、マルミノヤマゴボウというのがあります。どちらもヨウシュヤマゴボウ同様に有毒ですが、果穂が直立しており、ヤマゴボウの果実はいくつかに分球しています。いずれもあまり多くなくめったに目にすることはありません。
 他に紛らわしいものとして、野菜のゴボウと山菜としての「ヤマゴボウ漬け」があります。野菜のゴボウはキク科の植物で根や若葉を食用とします。「ヤマゴボウ漬け」の原料はキク科のモリアザミの根やゴボウの若い根を使います。ここでヨウシュヤマゴボウの名前が似ていることや若い根が食用のゴボウ、モリアザミの根と似ていることから間違って調理し中毒を起こすことがあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲コンクリートの隙間に育つヨウシュヤマゴボウ
▲ヨウシュヤマゴボウの花
▲ヨウシュヤマゴボウの果実

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