シュウメイギク(№454)

 秋口になると里山を中心に雑草の中からひときわ目立つ濃紫色の菊の花を見ることがあります。シュウメイギクと呼ばれますが実は菊科の花ではなくキンポウゲ科アネモネ属(イチリンソウ属)の仲間です。
 古い時代に中国から渡来し、各地で野生化しています。濃紫色、八重咲きが原種のようで京都市貴船に多く自生することからキブネギクとも呼ばれます。今では白、淡紅色、一重など園芸種も作出され広く普及しています。晩夏から茎の先端に1輪開花し、その両脇に各1輪、更にそれぞれの両脇に1輪ずつと賑やかに咲き続けます。半常緑性多年草で綿毛に包まれた種子または地下茎で増えます。栽培されると花後の茎は切り取られ種子が見られないことが多く、品種によっては種子をつけないものも多いようです。草丈0.5~1m、花は4~5㎝の大きさでよく目立ちます。花の外見は菊に似ていますが、花弁のように見えるのはガクで本当の花弁は退化しています。花の中央には多数の雌しべが固まり、その周囲を雄しべが輪状に取り巻いています。キク科植物のコスモスでは、大きな花弁をつけ雌しべ雄しべが退化した舌状花が周囲に、中央に雌しべと雄しべを持った筒状花で構成されており外見は似ていますが花の構造はかなり異なります。
 キンポウゲ科でプロトアネモニンを含むため切り口の乳液に触れるとかぶれることがあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲シュウメイギク
▲シュウメイギクの花(雌しべ、雄しべ、ガク)
▲綿毛をつけたシュウメイギクの種子
▲シュウメイギクの花(苞とガク)
▲コスモスの花(苞、ガクと花弁)

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