ヤマネコノメソウ(№473)

 植物が大きく移動できるのは花粉の世代と種子の世代でしょう。種子の散布を助けるのは風や動物が多いのですが、今回は雨滴で種子を弾き飛ばす植物の一つとして、ヤマネコノメソウをを紹介しましょう。
 ヤマネコノメソウは北海道から九州まで、日本全国のやや湿った畔、林縁、などに普通に生えているユキノシタ科ネコノメソウ属の植物です。草丈は根出葉で2~7cm、花茎が5~20cmと小型で、花は早春3月頃に花弁のない緑黄色4枚のガク片と4~8個の黄色いオシベなどからなる地味で小さな(4mm)花を咲かせます。果実は長楕円形で長辺に沿って杯状に半開し、中に黒褐色の種子が多数見えます。この様子が縦長の猫の目状に見えることからヤマネコノメソウと名付けられたようです。杯状に開いた果実は上を向き、底に種子がありますが、この種子は紐のようなもので果皮につながっており風でこぼれることはないようです。雨が降ると勢いよく落ちてくる雨滴がこの杯の中に落ち、種子を弾き飛ばす仕組みになっています。ヤマネコノメソウは種子以外に茎の根元にできる珠芽(ムカゴ)による栄養繁殖もします。
 ネコノメソウ属には近縁のネコノメソウなどもありますが、ヤマネコノメソウの葉は互生ですがネコノメソウは対生につきます。。
(*画像をクリックすると拡大されます)

▲ヤマネコノメソウ
▲ヤマネコノメソウの杯状に開いた果実と種子

homeへ


ページトップへ