キブシ(№508)

 サクラに先駆け、黄色い花を藤の花のように咲かせるキブシがあります。
 キブシ科キブシ属に属す雌雄異株の落葉低木です。樹高3~7m、川筋に多いといわれますが、非常に強健で先駆植物(パイオニアプランツ)のように生息地を選びません。中国の南西部に一部分布するようですが日本固有種とされ、北海道から九州、小笠原まで全国に分布します。
 関西では新葉が出る前の3月下旬~4月上旬、3~10cmの花茎いっぱいに黄色い小花(7~9mm)を多数ぶら下げ、非常に目立ちます。花は4枚の花弁を持ちますが、開出せず筒状になっています。雌雄異株と言われますが、雌花、雄花そして両性花をつける株があるようです。雄花、両性花にはオシベ8本と1本のメシベがあり、雄花と呼ばれるものでは花が終わると花茎ごと落下するようです。
 雌株には秋に果実ができますが、果実はタンニンを多く含み五倍子(ヌルデの虫癭、フシ)の代用として黒色染料やお歯黒に使ったことからキブシ(木五倍子)と呼ばれます。花は食べられますが果実はタンニンを含みますので実が太り出すと渋くなります。あまり大きくならず株立性で、早春の花が美しく強健な木であるため、自然味を求める庭には野趣豊かな庭木に向いています。葉や花、果実の大きさなどに変異が多いのも特徴の一つです。

(*画像をクリックすると拡大されます)
▲キブシ(雄株)
▲キブシの雌花
▲キブシの雌花
▲キブシの雄花


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