キイシモツケ(№511)

 和歌山県紀の川市に龍門山という標高756.3mの山があります。この山はいくつかの重金属を含む蛇紋岩からなる山で、植物の生育に悪影響を及ぼす金属も含まれていることが知られています。中でも、ニッケルは植物の生育を阻害することが知られていますが、そのニッケルを植物体内に取り込み蓄積する植物の一つにキイシモツケがあります。
 キイシモツケはバラ科シモツケ属の落葉低木で樹高1~1.5mになります。キイシモツケは和歌山県の3か所(龍門山、黒沢山、生石峰)のみに生息する貴重種です。シモツケ属にはユキヤナギ、コデマリ、イワガサ、イブキシモツケ、イワシモツケ、キイシモツケ、トサシモツケ、マルバシモツケなどが知られますが、キイシモツケ、トサシモツケ、マルバシモツケはイワシモツケの変種とされています。これらイワシモツケの仲間は葉の形と生息地域で区別され、イワシモツケの葉は狭長楕円形、生息地域は東北地方、キイシモツケは長楕円形で和歌山、トサシモツケは倒披針形で四国、マルバシモツケは円形で東北とされています。
 キイシモツケの花は、5~6月頃、コデマリなどと同様に、当年枝の先端に直径7~10mmの白色小花を多数つけた散房花序(直径3cm程度)を形成します。また、ニッケルを植物体内に蓄積することが知られていますが、このことが葉を食害するホシミスジなどの害虫から身を守ることになっているのかもしれないとの説もあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲キイシモツケ
▲トサシモツケ

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