ナシケンモン(№535)

 12月の家庭菜園を歩くと、時々野菜の害虫とは思えないケムシに出会うことがあります。今回紹介するのは、通常果樹の害虫として知られるナシケンモンです。
 ナシケンモンの成虫はヤガ科の蛾で、幼虫が植物を食害します。北海道から九州まで広く分布し、成虫は前翅長22~24mm、開長32~43mmの中型の蛾です。前翅は暗褐色で黒色の細かい模様が入っており後翅は淡褐色をしています。年間2~4回発生しますが野菜栽培の場面では通常の殺虫剤散布で防除されており、目にすることはまずありません。しかし、家庭菜園では時々目にすることがあります。名前からわかるように、幼虫は果樹の害虫として知られていますが、その食性は非常に広くバラ科(梨、スモモ、桜など)、ヤナギ科の樹木をはじめアブラナ科、マメ科、キク科、シソ科、ハス科等の野菜類、タデ科、アオイ科、アヤメ科、イネ科等の花や雑草までも食害します。このように広い範囲の植物を食べるものを広食性と呼びますがその代表的な害虫の一つです。
 幼虫は黒色タイプと褐色タイプがあり色彩変異の多い種類です。体節には毛束が目立ち、如何にも刺しそうなケムシですが刺毛はありません。

(*画像をクリックすると拡大されます)
◀ナシケンモン幼虫

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