ヤマトシジミ(№563)

 雪の便りも聞こえる11月下旬ともなると野山からチョウの姿も消えてしまいます。そのような中でも風のない穏やかな陽だまりを飛ぶシジミチョウの姿が見られました。ヤマトシジミです。
 早春4月上旬から晩秋の11月下旬まで本州以南の日本中、どこででも見られるチョウで、幼虫の食草がカタバミ類であることから、カタバミの生える都心部でもよく目につくチョウです。逆に、カタバミの見られない山中では少ないチョウです。
 前翅長(前翅の付け根から先端まで前縁に沿った長さ)が9~16mmの小型のチョウで、翅の表はオスでは青~青白色で発香鱗(匂いを分泌する鱗粉)を持ち、メスの表は暗褐色、裏はオス、メスとも灰褐色の地に円またはくの字模様の黒斑が見られます。
 食草のカタバミに産卵され、幼虫はカタバミを食べて育ちます。冬は幼虫態で越冬します。終令幼虫は蜜腺を持っており、蜜を出すためアリがよく舐めに集まっています。幼虫を捕食する天敵から身を守るために役立っているようです。蛹化は食草周辺の雨のかかりにくい所で行い、食草の上ではあまり見つかりません。
 2011年の福島原発事故後、周辺地域のヤマトシジミに放射能の影響と考えられる異常個体が認められたことの研究も知られています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ヤマトシジミ♀成虫
▲ヤマトシジミ♂成虫
▲ヤマトシジミ♂成虫


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