ウメ(№574)

 春を代表する花の一つに梅があります。昔から日本人に親しまれてきた花木ですが、原産地は中国です。バラ科サクラ属の落葉高木で、食用として果実を取る実ウメと花を観賞する花ウメとに大別されます。
 実ウメは果実を多数収穫できる品種が選抜され、花ウメに比べて品種数はそう多くはありません。花の色はほとんどが白で、花弁は一重が多いです。未熟の果実は青酸化合物を含むため有毒ですが熟すと無毒となります。梅の産地として栽培されているのは実ウメであり、昔から有名な梅林はほとんどが白い花で埋められています。しかし、中に異なる品種がぽつぽつと植えられていることがありますが、実ウメの大部分が自家不和合性(自己の花粉では受精出来ない)や雄性不稔性(花粉に受精能力がない)といった性質を持つため、他の品種の花粉を受粉に利用するため受粉樹として栽培しているからです。食用に利用する果実の果肉は花の子房壁が肥大したもので雌親と同じ性質ですが、中の種子は雑種で色々な性質のものが存在することになります。
 ところで「梅にウグイス」と言われることがありますが、ウグイスは梅にはほとんど来ることがありません。よく来るのはウグイス色をしたメジロです。メジロは梅の蜜を吸いに来ますが、観察していると白い花の実ウメに来ることが多く桃色や紅色の花ウメに来ることは比較的少ないことがわかります。これは花ウメには蜜が少ないことが多いためで、さらに花をよく観察すると花ウメにはめしべのない雄花が多いことにも気が付くでしょう。花ウメは大きな花弁を持ち、花弁数も多く、色鮮やかなものが選別されてきたため、雄しべの数や、蜜を減らしたり雌しべまで無くしたような花になってしまっていることもあります。
 (*画像をクリックすると拡大されます)
▲白梅
▲白梅の雄花(雌しべが欠如)
▲紅梅
▲紅梅の雄花(雌しべが欠如)
▲吸蜜中のメジロ
▲吸蜜中のメジロ

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