ヒオドシチョウ(№584)

 最近、都市近郊で減少傾向にある蝶の一つにヒオドシチョウがいます。かつては食草であるエノキ、シダレヤナギ、ハルニレなど落葉広葉樹の生える丘陵地や山地で3~7月によく見られました。早春3~4月に見られるのは越冬した成虫で痛んでいることが多いのですがこの越冬成虫が春先縄張りを作り、交尾産卵後5~7月に新鮮な成虫が現れます。この成虫は夏には夏眠し、そのまま冬を越し翌春活動を開始します。樹液、獣糞、腐敗果などから吸汁しあまり花には集まりません。
 成虫は開帳6cm程度で、翅の表は赤褐色、大きな黒斑があり、前翅頂(前翅の先端)付近に白斑があり比較的派手な模様をしています。しかし、翅の裏は茶褐色で樹皮に擬態をしており、翅をたたんで樹液を吸っていると目立たなくなります。
 類似種にエルタテハがいますが、関西では滋賀県北部1000m以上の山地で稀に見られることがありますが平地では見られません。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ヒオドシチョウ新成虫
▲ヒオドシチョウ越冬成虫
▲ヒオドシチョウ捕虫網に止まった越冬成虫(翅裏面は樹皮に擬態している)

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