ボーベリア菌(白きょう/黄きょう病)(№590)

 日本の夏はセミの声で満ち溢れています。しかし、時々写真のように、体節から白い粉を吹いたような状況で死んでいるセミを見ることがあります。これは、ボーベリア菌と呼ばれる昆虫病原性糸状菌に犯されて死亡したたセミで、この仲間の菌が感染する昆虫は500種類以上が知られています。また、クモにも寄生するものがあるようです。
 ボ-ベリア属の菌に犯され、死後乾燥してミイラ化するものをきょう(彊)病といい、白い分生子を出すものを白きょう病、淡黄色の分生子を出すものを黄きょう病と呼びます。この呼び方は死後の症状から呼ぶもので、菌そのものを指しているわけではなく白だからすべて同じ菌というわけでもありません。黒きょう病、赤きょう病なども知られています。
 養蚕が盛んであったころ、蚕の病気として恐れられていたものですが、現在では、一部の菌が害虫に寄生しやすいことを利用し、培養してその胞子を生物農薬として利用することが研究され農薬登録されているものもあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲白彊病に犯されたアブラゼミ
▲白彊病に犯されたヒグラシ
▲白彊病に犯されたヒグラシ

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