アケボノシュスラン(№598)

 山々が秋の装いを始めるころ、林内の日陰にひっそりと咲くランがあります。草丈5~10cm、茎の先に長さ1cm程度の淡紅色の花を数個つけたアケボノシュスランです。
 日本全国の山野林内で稀に見られる常緑多年草で、茎は匍匐し、上部は斜上します。匍匐茎の各節から根を出して広がり、群落を作るようですが私はまだ群生しているのを見たことがありません。立ち上がった茎に長さ2~4cm、幅1~2cmの肉厚の葉を数枚互生します。葉の葉縁はやや波打ち、3本の葉脈が目立ち艶があります。花は9~10月、横向きにやや偏った方向に着けますが、筒状で、平開しないため、口の長いマルハナバチのような昆虫が受粉させるようです。
 淡い紅色の花と、繻子(シュス=サテン)織のような艶のある葉から、アケボノシュスランと呼ばれていますが比較的地味な花です。京都府では準絶滅危惧種、愛媛県では絶滅危惧2類に指定されています。生息に適した半日蔭の環境が減りつつあるのでしょうか。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲アケボノシュスラン
▲アケボノシュスラン

homeへ


ページトップへ