ウンシュウミカンの花(№260)

 5月になると、ミカン園の近くを通ると、ミカンの花の香りが漂います。ミカンの花は、香りも強く、蜜や花粉も豊富です。したがって、昆虫がたくさんやってきます。この昆虫たちはミカンの受粉に役立っているのでしょうか。
 受粉は植物が種子を作るために必要なことですが、ウンシュウミカンには種子はありません。人間が果実は熟すが種を作らない(単為結果性)ミカンを作り上げてきた結果でしょう。ウンシュウミカンは自家和合性のため自家受粉が可能ですが、雌性不稔性が強く種子は殆どできません。そのため、繁殖は接木によっています。
 ミカンの花に集まる昆虫たちは蜜や花粉のご馳走をただで頂戴することになります。ところで、強いにおいには多くの甲虫類が集まってきます。特にハナムグリの仲間が多いのですが、ハナムグリは脚に鋭いとげを持っており、花粉や蜜を食べるとき花の奥まで脚でかき回します。そのため、花の奥にある果実の外側が傷だらけになりミカンの商品価値が落ちます。農家にとっては、正にお邪魔虫というわけで、殺虫剤を散布される羽目になります。
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