クリタマバチ(№264)

 クリの芽が開く頃、新芽、葉の主脈、葉柄などに赤みがかったこぶが見られることがあります。これはハチ目タマバチ科の植物寄生性ハチが作ったゴール(虫えい、虫こぶ)です。春に伸びた新梢の新芽に産卵された卵から孵った幼虫は、殆どそのまま越冬し、翌春、新芽が動き出すのと同時に活動し、ゴールを作ります。ゴールの中には数個の幼虫室があり、それぞれ1匹ずつの幼虫が入っています。クリの新芽や葉の主脈を犯すためクリの収量減少、生育阻害など大きな被害をもたらします。被害が大きいと枯死に至る場合も見られます。
 もともと中国から侵入した害虫ですが、メスだけで増殖する単為生殖性のため瞬く間に広がったようです。クリの品種によって被害が違うため抵抗性品種を利用したり、成虫発生期の薬剤散布で対策をとっていましたが防除にはかなりてこずっていました。しかし、
1979年に始まった中国からの導入天敵チュウゴクオナガコバチの放飼で発生は鎮静化し、クリ栽培上あまり大きな問題とならなくなりました。
(*画像をクリックすると拡大します)
▲成長点に出来た虫えい
▲主脈上に出来た虫えい
▲虫えい内の幼虫


ページトップへ