タカサゴユリ(№269)

 8月も末になると、里山をはじめ、道路際や一般家庭の庭のあちらこちらにも白いユリの花が見られるようになります。タカサゴユリです。
 タカサゴユリは日本で最も普通に見られるユリです。テッポウユリによく似ていますが、タカサゴユリは茎が太く、草丈も高くて1,5m程度になることもあります。花の長さ15~20cm、直径5cm以上で全体に大型です。花弁に紫褐色の筋が入るのがタカサゴユリの特徴ですがテッポウユリとの交雑種も多く、この特徴も危うくなりつつあります。タカサゴユリの葉はテッポウユリより細くホソバテッポウユリと呼ばれることもあります。
 もともと台湾の固有種ですが、園芸用に日本に移入したものが逃げ出して野生化したものです。現在シンテッポウユリと呼ばれるものはタカサゴユリとテッポウユリの交雑園芸種です。
 ユリの仲間は連作障害がでやすいため、タカサゴユリが一面に咲いていても、数年で発生地が変わります。この移動は種子が風に飛ばされて起こりますがその様子は本シリーズユリの種子散布(№209)をご覧ください。
 またユリの仲間の葯(花粉の入っている袋)は花糸(おしべの軸)にぶら下がるようについています。まるで掃除機の先のように自由に動きますが、これは訪花昆虫がやって来たとき、出来るだけたくさんの花粉を昆虫の体にまんべんなく付けるための工夫のように見えます。
(*画像をクリックすると拡大します)
▲斜面一杯に咲くタカサゴユリ
▲タカサゴユリ
▲掃除機の先のような葯(黄色い花粉をたくさんつけている)


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