チヂミザサ(№274)

  秋の山道を歩くと、ズボンに草の種子がべったりとつくことがあります。いろいろな種子がつきますが、中に、種子を取ろうとすると手がべたべたするものがあります。これはチヂミザサと呼ばれるイネ科チヂミザサ属のチヂミザサの果実であることが多いようです。
 チヂミザサの葉は長さ3~7cmの笹に似た形をしています。葉の縁が縮れたように波打っており、地面を這うように広がります。晩夏から秋には茎が30cm程度立ち上がり、先に地味で小さな花を穂状に付けます。それぞれの小花は3本の紫色の毛(芒・ボウ)を持ち、この毛が粘液を出し、動物に付着して種子の散布を試みるものです。
 動物を利用して種子散布を計る植物はいくつもあり、その方法は、果実と共に食べさせて運ばせるもの、果実に棘を付け引っかかることで運ばせるものが主で、粘液を出して動物にくっつくことで運ばせる例は、メナモミ、オオバコなど少数派に属します。
 この粘液は非水溶性らしく水洗いでは完全に落ちない厄介者です。ズボンに付いた果実をとるのに「軍手をはめてこすればいい」と教えられやってみました。ズボンの果実は取れましたが、軍手に付いた果実がなかなか取れません。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ズボンにくっついた果実
▲チヂミザサ
▲葉縁が縮れている
▲果実の毛が粘液で光っている


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