アベリア(№276)

 街路の生垣に多数使われている低木にアベリア(ハナゾノツクバネウツギ)があります。アベリアというのは、スイカズラ科ツクバネウツギ属の総称(Abelia)で、国内で街路や公園、ビルの外構植栽に使われているのは、殆どが中国原産の交雑種で大正時代に渡来したハナゾノツクバネウツギ(ハナツクバネウツギ)と呼ばれるものです。しかし、一般には単にアベリアといえば白い花のハナゾノツクバネウツギを指します。他に、ピンクの花や斑入り葉の品種も見られます。日本には自生種としてツクバネウツギがありますが、これは花弁内側に網状紋が見られます。
 春から秋にかけ、非常に香りの強い白い花(長さ直径とも約2cm)を付けます。セセリチョウやスズメガの仲間がたくさんやってきて吸蜜しています。花後、花弁は落下しますが、3~5枚の赤褐色のガクが残り、これがツクバネの形に似ているところからハナゾノツクバネウツギと呼ばれるそうです。ところで多数の花が咲くにもかかわらず、結実しません。といわれていますが、写真を撮るためによく見ると、ガクの下の子房部が異常に太いものが見つかりました。これを割ってみると中から種子のようなものが出てきました。非常に低い確率ですが、結実するものもあるのではないでしょうか。
 植物の葉は、茎につく付き方が種毎に決まっており、同定のポイントになっていますが、ハナゾノツクバネウツギの葉では基本的には対生(葉が向かい合って2枚ずつ出る)ですが、徒長枝には3輪生(葉が3枚ずつ出る)の葉が見られることがあります。
(*画像をクリックすると拡大されます)

▲アベリアの花
▲左:アベリア3輪生の葉  右:アベリアの葉は通常対生
▲左:子房の膨らんだ花  右:大多数の不稔と思われる花
▲左の花から種子?らしいものが。


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