トクサ(№279)

 和風庭園の根占に使われることが多く、細い茎がまっすぐに伸びる植物はトクサです。
 比較的寒地の植物で、分類上はシダの仲間です。高さ、1mぐらいまで伸びやや湿地を好みます。地下に伸びた地下茎の節から直径4,5mmの真っ直ぐな茎を立ち上げます。シダ植物ですから、葉があるはずですがそれらしいものは見つけられません。実は、真っ直ぐ立ち上がった茎に、ところどころ節があり、その節にハカマ状のものがありますがこれが葉の変化したものです。また、シダ植物は胞子で増えますが、この真っ直ぐな茎には胞子らしいものが見当たりません。夏季には、この茎の先端にツクシの頭のようなものが見られることがありますが、これが胞子葉群と呼ばれ胞子をつける器官になっています。実際には、地下茎が伸び周辺に広がるだけでなく、茎からの発根は容易で、折れて地表に接した部分から発根し増殖することもあるようです。園芸品種として斑入りや黄色のものもあります。
 茎
にはケイ酸を多く含んでおり、手で触ってもざらざらするのがわかります。これを利用して、高級ツゲグシ、漆器、木製品やクラリネットの竹製リード(振動し音を出す薄片)の研磨に現在も使われているそうです。また漢方薬の「木賊(止血、涙目、下痢止めなど)」として利用されています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲和風庭園によく使われるトクサ
▲トクサの自生状況
▲トクサの葉の痕跡と胞子葉群


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