ホソヘリカメムシ(№281)

 昆虫たちも、寒い冬を越すためににいろいろな工夫をしています。卵、蛹、幼虫それぞれの形で冬を越すものもたくさんいますが、成虫の形で冬を越す昆虫たちもたくさんいます。成虫で冬眠するカメムシ類の多くは樹皮や石の下、物陰などで寒風を避けながら春を待つものが多くいます。
 冬の比較的暖かな1日、冬眠場所から陽の光を求めて出てきたカメムシを見つけました。春から秋まで、豆類の害虫として嫌われるホソヘリカメムシの成虫です。体長13~17mm、全体が茶褐色の細長いカメムシです。体の特徴としては、後脚が長く、腿節(もも)に後方に向けた棘(トゲ)が生えています。歩く姿はがに股でいかにも不恰好ですが、飛ぶと長い足がアシナガバチに似ています。これも一種の擬態でしょうか。幼虫はアリそっくりの形をしており、天敵から逃れるための擬態と思われます。カメムシ類は臭いにおいを出して身を守りますが、ホソヘリカメムシはそれほど強い匂いを出しません。そのために、このような擬態をしているのかもしれません。
 成虫、幼虫共に豆類の茎葉や果実に口吻(針のようにとがった口)を刺し、汁液を吸収します。そのため果実(豆)に汚点が付いたり変形したりするため農家からは嫌われますが、幼虫がアリそっくりなためその発生が見落とされることがあるようです。ホソヘリカメムシの幼虫がアリに擬態していることは、最大の天敵である人間から身を守るために役立っているようです。
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◀ホソヘリカメムシ成虫


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