クモヘリカメムシ(№298)

 田植えも終わり一ケ月以上経過すると、畦畔雑草もきれいに刈られた水田の緑が非常にきれいな風景に変わります。この畦畔雑草は、暑いさなか農家の方が草刈機を使って除草作業をされた結果です。しかしこれは、景観維持のための作業ではありません。
 以前に、稲の害虫としてのカメムシ類(№226)を紹介しました。その中にクモヘリカメムシも入っていました。水田から少し離れた空き地にエノコログサが生えていましたが、エノコログサの穂に多数のカメムシが集まり、吸汁の真っ最中でした。このカメムシはクモヘリカメムシです。まもなく、エノコログサの穂は熟し種子となりますが、その頃には稲の穂が出穂し始めますが、クモヘリカメムシも柔らかい稲の穂に移動し、吸汁を開始します。エノコログサで吸汁しているクモヘリカメムシは水稲害虫としての予備軍というわけです。畦畔雑草で待機している害虫はクモヘリカメムシ以外にも多数います。ですから、これらの予備軍を近づけないためにも畦畔の雑草刈が重要な作業となるわけです。その結果として、写真(下段右)のような景観も生まれることになります。
 クモヘリカメムシは体長15~17mmで、非常にスマートなカメムシで一見アメンボウのようにも見えます。水稲の斑点米を発生させるカメムシ類の中でも主犯格の種類です。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲きれいに畦草の刈られた水田
▲畦草が放置された水田
▲畦のエノコログサで吸汁するクモヘリカメムシ
▲きれいに管理されている水田群


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