ソヨゴ(№305)

 庭木の中で常緑樹(1年中緑の葉を付けている木)として、柔らかい感じの葉を付ける高級樹にソヨゴがあります。ソヨゴは生育が遅く、種子から育てれば開花まで8年以上もかかります。しかも雌雄異株のため、秋に赤い果実を楽しむには10年生以上の雌株を選ぶことになります。このように育成に長い年数が必要なため、山取り(自然に生育している木を利用)が多く、高価な庭木となっています。
 ソヨゴは葉のクチクラ層(葉の最も外側の層)が厚く、風に吹かれると葉が擦れ合う音がするため「そよぐ」からソヨゴとなったそうです。葉縁(葉の縁)が波打つのもクチクラ層が関係しているそうです。また、葉にライターの火を近づけるとその部分が膨らみ、「パチン」という音と共にはじけます。そのため「フクラシバ」ともいわれます。これはクチクラ層が厚いため熱せられて発生した水蒸気が逃げられず膨らみ、葉の表皮が破裂するために起こります。また、加熱された部分の外周は黒く変色します(円紋、死環)。加熱すると膨らんだり、その周辺が黒変するのはモチノキ科の植物に広く見られます。
 ソヨゴの材は成長が遅く、木目が目立たないため、コマやそろばんのタマとして利用されました。また、一部地方ではさかきの代用として利用されるそうです。
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▲ソヨゴ(雌株)
▲葉縁が波打つソヨゴの葉と果実
▲火を近づけ膨らんで破れた葉と、周囲の黒変