キバナコスモス(№311)

 晩秋、11月も中頃になると路地の花も少なくなり、黄色い花を咲かせているコスモスが目立つようになります。これはキク科コスモス属のキバナコスモスで、ピンクやシロの花を咲かせるコスモス(オオハルシャギク)とは同属別種で、交雑もしません。キバナコスモスのほうが頑健で繁殖力も旺盛なため花壇から逃げ出して、路傍で秋遅くまで咲いていることがあります。
 キバナコスモスの花は、周囲に花びらがあり、中央に雌しべと雄しべがあるように見えますが、実は周囲の花びらのように見えるものもその1枚ずつが花で舌状花と呼ばれます。キバナコスモスでは舌状花の雌しべ、雄しべはほとんど退化しており、昆虫を呼び寄せるための広告塔の役目をしているのでしょう。中央の固まりは花弁が退化し雌しべと雄しべが筒状になった花の集まりで筒状花と呼ばれ受粉して種子をつける花です。キク科の花には、このように筒状花と舌状花が見られますが、すべての花が筒状花のみ(アザミなど)、舌状花のみ(タンポポなど)の花も見られます。
 キク科の筒状花の雄しべは通常5本がまとまって筒のようになり(葯筒)、その筒の中に1本の雌しべがあります。雄しべの葯(花粉袋)は葯筒の内側に開き花粉を出します。花粉は雌しべの柱頭が上に伸びるとき外へ押し出されます。このときの雌しべの柱頭は未熟で、開いていないため、殆ど自家受粉をしないようです。花粉を押し出す役目を終えためしべは柱頭を開き受粉の準備を整えます。
(*写真をクリックすると拡大されます)
キバナコスモス1
キバナコスモス2
▲キバナコスモスの花
▲キバナコスモスの筒状花