ヒラドツツジ(№41)

 5月になるとツツジ、サツキが満開となります。
 ヒラドツツジの花は赤紫色でアゲハチョウによくアッピールするようです。雄しべや雌しべは長く飛び出して上向きに反り返っています。これは、アゲハチョウが吸蜜に来た際、その体を利用して花粉の送受粉を確実にするための工夫です。また、多数の花粉が糸で繋がったネックレス状となり、一度に多くの花粉を運ばせる工夫も見られます。花弁上部中央の内側に、濃赤色の斑点が見られます。これは、昆虫にこの奥に蜜があるよと教えているマークで蜜標(ガイドマーク)といわれます。この蜜標から花の奥のほうに向かって花弁が丸く管状になっているのが見られます。花を輪切りにするとよくわかります。この管の中にアゲハチョウは長いストロー状の口吻を差込み、蜜を吸います。しかし、その様な口器を持たない昆虫は蜜を吸うことは出来ません。
 このようにヒラドツツジも昆虫(特にアゲハチョウ類)による花粉媒介を期待し、さまざまな工夫と努力をしています。しかし、ヒラドツツジは近縁種交雑による雑種不稔性を持っているため種子は出来ません。ヒラドツツジもむなしい努力を続けているのでしょう。
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▲ヒラドツツジの蜜標
▲ヒラドツツジの花粉(連なっている)
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▲輪切りにしたヒラドツツジの花筒


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