ハイイロゲンゴロウ(№334)

 7~10月にかけて水田、池、プール、噴水池等の水のたまっているようなところをよく見ると、水中をぐるぐる回るようにすばやく泳いでいる、体長1cm~1.5cmの小さな虫が目に付きます。都会の水溜りでも十分生きていけるハイイロゲンゴロウです。
 ゲンゴロウの仲間の多くは、水に続いた陸地(田んぼの畦のようなところ)でないと蛹化(蛹になること)できないため、畦や河川、池がコンクリートで固められると住めなくなりますが、ハイイロゲンゴロウは、僅かな土塊があればその中で蛹化することが出来るため都会の水溜りでさえ生活することが出来ます。また水面に浮かんだ状態から飛ぶことが出来る(多くのゲンゴロウの仲間は、陸に上がってから飛ぶ)ことや、他の小動物特にボウフラなどをえさにするなど都会派ゲンゴロウとして生き延びてきました。
 水中生活をするため、翅の下に空気をため、尾端に空気の泡を作り、この泡の中で呼吸で出た炭酸ガスと、水中の酸素のガス交換をしながら長時間の水中活動を可能にしています。このガス交換は、以前に紹介したマツモムシ(№216)と似ています。水中では、前、中脚で物につかまり、ボートのオールのような後脚を左右に広げてバランスをとり尾端に泡をつけた状態で静止しているのが良く見られます。
 成虫越冬のようですが詳しい生態等は不明な点が多い昆虫の一つです。
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ハイイロゲンゴロウ
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