ホウネンエビ(№336)

 田植え後、数日たった水田を見ると体長1、5cm~2、0cmで、尻尾(尾叉と呼ばれる)が鮮やかな朱色、体は淡緑半透明、頭部には左右に突き出した目を持ち、背面を下にして泳いでいるエビのような生き物を見ることがあります。
これはホウネンエビといい分類上は甲殻亜門鰓脚綱(ミジンコ綱)ホウネンエビ目に属する動物です。
 この動物の卵は乾燥に非常に強く、初夏の頃、土壌表面に産卵された卵は、乾燥土壌の中で長期間休眠状態で過ごし、水と温度を得ると直ちに孵化し幼虫から成虫になる面白い生態を持っています。このように、乾燥に強く水と温度があれば直ちに孵化する性質をクリプトビオシスと呼び、子供向け飼育セットや小魚のえさ動物として利用されています。
 水田にはクリプトビオシスを示すカブトエビも同時に発生しますが、カブトエビは土の上を這い回ることで水田雑草を浮き上がらせ、除草の助けになりますが、ホウネンエビはそのような役にも立たず、人に危害を与えることもなく、プランクトン類を餌としてひっそり生きている動物の1種で僅か20日程度で死に絶えます。
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ホウネンエビ
ホウネンエビ卵
▲鰓脚と呼ばれる鰓(えら)を上に泳ぐホウネンエビ成虫
▲土の表面にばら撒かれたホウネンエビの卵


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