ホタルブクロ(№230)

 夏の山肌、削り取った崖っぷちなどによく見られる山野草です。この花には、紫色と白いものが見られます。紫色のものは関東に多く、白いものは関西に多いと言われます。また、非常に良く似た種類で、ヤマホタルブクロ(ホタルブクロの変種で萼片の間が盛り上がる)と呼ばれるものもあります。
 さて、この花、開花している花を覗き込むとどの花を見ても雄しべは既に枯れています。開花した時、既に雄しべが枯れている。では、花粉はどうして散布されるのでしょうか。
 その謎は蕾の花弁を取り除き、分解して初めてわかりました。ホタルブクロは蕾のうちに雄しべが熟し花粉を出します(画像2)
。その花粉は、まだ未熟で受粉できない雌しべの花柱にくっつき(画像3)開花します。その時雄しべは既に枯れています(画像4)。花粉をたくさん付けた花柱は、訪ねてくるハナバチ等の昆虫に花粉を託します。花粉がなくなった頃、雌しべが熟し受粉体制となります(画像5)。このような仕組みで自家受粉を避けているのです。
 たかがホタルブクロ、されどホタルブクロですね。
(*写真をクリックすると拡大されます)

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▲ホタルブクロの花
▲蕾の状態で熟した雄しべ
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▲未熟な雌しべの花柱に花粉が付く
▲雄しべは枯れ、花粉は花柱に付いている
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▲花粉がなくなり、雌しべが熟す


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