ツリフネソウ(№206)

 晩秋の谷筋を歩くとツリフネソウに出会います。赤紫で、帆掛け舟を吊り下げたような変わった形の綺麗な花です。これはアフリカホウセンカ(インパチェンス)の仲間です。
 属名のimpatiensは「触らないで」という意味です。熟した果実は(写真下左)、そっとふれるだけで種子をはじき飛ばすことから付けられたものです。写真下右は種子を飛ばしたあとの果実です。
 ツリフネ草の花弁は5枚ですが、左右の花弁(側花弁)はそれぞれ2枚が合着しているため、上の花弁と合わせて3枚のように見えます。船のような形は、萼片(下萼片)が変化したもので、先端(距)は細くなり曲がっています。ここに蜜を蓄えているため頭をつっこみ、長い口を持った昆虫(アブやハナバチ類)しか蜜を吸えません。このように、吸蜜に来る昆虫の種類を限定しているのは受粉効率を良くするための手段です。
(*写真をクリックすると拡大されます)

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▲ツリフネソウの花弁
▲ツリフネソウの果実
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▲ツリフネソウが種子を飛ばした跡の残骸