クリ(№342)

 秋の味覚はマツタケ、クリに代表されるでしょう。ところでこのクリのイガはいったい何のためにあるのでしょうか。クリの果実は動物たちの格好の餌でもあります。そこでクリは、動物による食害から果実を守るために渋皮やイガを用意したのでしょう。しかし、自然界にはそのバリアーを乗り越え果実に産卵するクリシギゾウムシがいます。クリの果実の90%以上がこの虫に産卵されています。イガの隙間から産卵するクリシギゾウムシの努力に感心します。
 ところでこのイガはクリ独特のもののように見えますが、実はこのイガと同じ起源を持つものはブナ科の果実(ドングリ)に見られる殻斗(ボウシ)がそれです。殻斗が果実全体を覆っているブナ、クリ、スダジイ等、帽子状であるが大きく柔らかな突起が多数見られるクヌギ、アベマキ等、帽子状の殻斗に横縞模様が着いたシラカシ、アラカシ、アカガシ、ウラジロガシ等、帽子に小さな突起状の点が多数見られるものシリブカガシ、ウバメガシ等などいろいろな殻斗が見られますが全て発生起源は同じで総苞片が癒合変化したものです。
(*画像をクリックすると拡大されます)
%e3%81%8f%e3%82%8a
kuri
▲クリ
▲クリの殻斗(イガ)
%e3%82%af%e3%83%8c%e3%82%ae
%e3%81%aa%e3%82%89%e3%81%8c%e3%81%97%e3%82%8f
▲クヌギの殻斗(大きな突起が多数見られる)
▲ナラガシワの殻斗(小さな突起が多数見られる)
%e3%81%82%e3%82%89%e3%81%8b%e3%81%97
▲アラカシの殻斗(横縞がみえる)


ページトップへ