マムシグサ(№185)

 半日陰の林縁に、茎にマムシに似た模様をつけた植物が見られます。その名もマムシグサ。サトイモの仲間で、テンナンショウ属の植物です。
 花は、仏像の光背に似た苞(仏炎苞)の中に雌雄異株で開きます。一つの株でも幼植物の間は花をつけませんが、球茎が少し肥大すると雄花を、更に大きくなると雌花をつけ、性転換をする植物として有名です。
 仏炎苞の中は狭く、中に入った昆虫(キノコバエ、ユスリカ等)は翅を広げて飛ぶことはできません。また、雄しべ、雌しべの芯の上部にはねずみ返しのようなでっぱりがあり、這って上から出ることもできません。雄花で花粉をつけた昆虫は、仏炎苞の底部の小さな隙間から外へ出ますが、雌花にはそのような隙間がなく、体中の花粉を雌しべに与えたあと、そのまま命を絶たれることになります。食虫植物ではありませんので、そこまでやらなくてもと思うのですが・・・。
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▲マムシグサ
▲芯の上部のねずみ返し
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▲雌花仏炎苞の下部(出口無し)
▲雌花仏炎苞の内部(昆虫の死体有り)
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▲雄花仏炎苞の下部(出口有り)
▲雄花仏炎苞の内部(昆虫の死体無し)