ケヤキ(№349)

 ケヤキはニレ科の高木でムクノキ、エノキなどの仲間です。街路樹などに使われると見事な景観を作り出します。春、新葉が展開するのと同時に開花しますが、花の付く枝と付かない枝では葉の大きさが違うのをご存知でしょうか。高木のため下から見るだけではよくわかりませんが、花をつける枝の葉は小型で節間も短く葉の塊のように見えることもあります。
 秋になり黄葉が始まると、花をつけた小枝(着果短枝)が最初に黄化します。やがてこの葉が褐色に変わる頃、残りの葉も黄葉し落葉が始まります。大きな葉は1枚ずつ葉の基部に離層が出来て落ちます。しかし、果実の付いた着果短枝の葉は1枚ずつ落ちないで、数枚が付いた短枝ごと落ちます。しかも強風が吹くまで落ちず、太い枝にしがみついています。これには訳があります。
 植物は種子を飛ばすためにいろいろな工夫をしています。原動力としては獣類、昆虫類、鳥類、自力(物理的)
、風力、水流等があり、果実はそれに適した形や工夫をしています。ケヤキの果実は果肉が殆ど無く獣類や鳥類は種子分散に殆ど役に立ちません。そこでケヤキは風力散布の道を選びました。そのため、種子をつけた着果短枝ではその枝に付いた葉を落とさずに、小枝の基部から落とすことにしたのです。果実と枯葉数枚を付けた小枝は強い風が吹くと数mから数10mも飛ばされ種子散布が行われることになります。このように、枝と枯葉を種子散布に使う例は殆ど無く珍しい方法といえます。
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▲ケヤキの黄葉(黄色と褐色)
▲着果短枝の落葉(上段)と葉1枚ずつの落葉(下段)
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▲着果短枝の葉の付け根に付いた果実


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