ヤドリギ(№357)

 ヤドリギと呼ばれる植物があります。これは、数種の仲間を総称する場合と、ビャクダン科の1種を指す場合があります。一般には後者を指し、自分自身も光合成をする半寄生の常緑植物です。他の樹の枝に、長さ30~100cmで叉状に分岐した枝をボール状に伸ばし、長さ2~8cmでやや厚めの対を成した葉を付けます。ケヤキ、エノキ、クリ、アカシデ、ヤナギ類、ブナ、ミズナラ、クワ、サクラなど落葉広葉樹に自身の根を進入させ、養分と水分を吸収します。寄生するのは落葉樹であるため、冬季には葉の落ちた樹に丸いボール状の緑の塊が見られ遠くからでもそれとわかります。寄生された樹から養水分を吸収しますがその樹を枯らすようなことはありません。
 雌雄異株で3~4月に2~3mmの目立たない花を咲かせ、秋には淡黄色~橙黄色の液果(多肉質で水分を多く持った果実)をつけますが、この種子は粘着質のにかわ状繊維にくるまれており、鳥が食べると粘液質の糸を引いて種子が排出されます。この種子が樹にくっつき発芽して新たなヤドリギが誕生します。鳥の中でもヒレンジャクやキレンジャクが特に好むようです。
 ヤドリギは西欧ではクリスマスの飾りに使われるようですが、日本では殆ど利用価値のない樹です。日本では類似種としてオオバヤドリギ、マツグミ、ホザキヤドリギ、ヒノキバヤドリギが知られています。
(*画像をクリックすると拡大されます)
▲ヤナギの仲間に寄生したヤドリギ(丸いボール)
▲ヤドリギの若木(オオズミの枝に根を進入させている)
▲ヤドリギの果実
▲葉に付いたヤドリギの種子(膠状物質の底面に見える)


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